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| インプラント治療とは |
インプラント治療がずいぶん広まってきました。
患者さんからの質問もよく頂きます。
そこでインプラントに対する私の考え方を
述べてみたいと思います。
インプラント治療とは簡単に言うと、
歯を失った後の顎骨に、
チタン製の人工歯根を入れて、
歯と同じように噛めるようにしようという治療法です。
従来の義歯に比べてものを食べるときに、
とても快適とされています。
【初診時、通常であれば義歯(入れ歯)となる症例】
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| 【インプラントを使用することにより、義歯を使わずに欠損を回復 (6年経過)】 |

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| 現在のインプラント |
ただ、健康保険の適応外であるうえ、
手術も必要となり、患者さんにとっては
いろいろな意味で負担となります。
現在のタイプのインプラントは1960年代に、
スウェーデンで私が留学していたイエテボリ大学で開発されました。
なので、留学中は実際の長期症例を見る機会も多く、
また私自身も必要な患者さんには手術を行っていました。
そうした経験を通して私は現在、
インプラントに対してはこう考えています。 |
| 歯を失う原因を考えてみましょう |
皆さんはどこかで
「インプラントを入れれば問題ないので、早めに抜歯しましょう」と、
言われたことはありませんか?
よく考えてみて下さい。
インプラントを行えば、
歯を失った原因を取り除けるのでしょうか?
抜歯となる歯の多くは、
「歯周病や虫歯」です。
歯の根が折れるケースもありますが、
もともとは虫歯や歯周病で治療を
受けた歯であることがほとんどです。
それらの原因を除かないで
インプラントを埋めることは、
口の中にもう一つ、
トラブルの素を作るだけかもしれないことは、
想像がつくと思います。
それもだめになったら、
またまたインプラントを入れるのでしょうか?
トラブル多発の口の中の多くは、
「細菌に支配された口の中」と言えます。
そんな口の中にインプラントを行う勇気は、
私にはありません。
冷静に考えてみて下さい。
インプラント治療を受けると、
口の中の細菌が減るのでしょうか?
問題は全て解決するのでしょうか?
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【細菌感染を起こしたインプラント】
当院に転院して来られた患者さん
インプラントの骨に埋める部分が汚染している様子がわかる |
| 【インプラント周囲に炎症が起こり、インプラント周囲の骨が溶かされている】 |
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| インプラントの目的 |
多くの研究では、
インプラントの細菌に対する抵抗性は、
天然の歯よりも弱いという結果が出ています。
インプラントは「治療」ではありますが、
それはトラブルの原因を除く治療ではなく、
「機能を回復」する治療です。
つまり義足や眼鏡と同じ位置付けであると考えます。
劣悪な口の中にインプラントを行うことは、
火が燃え盛っている火事の現場に、
家を建てるようなものでしょう。
私はインプラントの治療の適応は以下のケースに考えております。
1.天然の歯にダメージを与えることなく、機能を回復したいとき
(患者さんの気持ちと、歯科医師の判断)
2. インプラントを行うことにより、天然歯の負担を、
人生の一時期、できれば生涯にわたって軽減できると思われるとき
(歯科医師の判断)
3 義歯が心理的にどうしても嫌だと思うとき
(患者さんの希望)
これらのケースではあくまで
「細菌がコントロールされている口の中」
であることが大前提です。 |
| 最新医療に対する態度 |
私の患者さんでも、
何人もの方がインプラントの恩恵を受け、
歯に関する不安から開放されています。
確かにインプラントはとても便利なものです。
ただそういった経験を踏まえた上で、
私はこう思っています。
私が歯科医師になりたての頃、
修復治療の師匠がこう訓えてくれました。
「世界一の腕を持つ歯科医師でも
神様が創った天然の歯には敵わない」
スウェーデンでインプラント治療のトレーニングを受けていたとき、
世界中のインプラント医から尊敬を受けていた、
インプラント科のL教授にも、
まったく同じことを言われました。
学生時代に優秀な解剖学の教師に出会えた学生は、
神様がいるとしか思えないほどの
優れた天然の歯の構造と機能に感嘆し、
生涯にわたって天然歯を守ることの大切さを、
歯科医師としてのDNAに刻みこんで、
歯科医療を行います。
インプラントは「高度先進医療」の代表的なものですが、
そんなことを行わなくとも、
歯を守る予防が上手くできたり、
インプラントでなくとも、
普通の義歯や従来の方法、
そして矯正その他の方法で、
十分満足いく結果が得られるならば、
そちらのほうが、
「ほんとうの高度先進医療」ではないかと、
私は考えます。 |
| 新しい治療 |
医学において新しい治療法には、
ある程度決まった歩みがあります。
第一段階 まず、高い期待が寄せられ、
第二段階 しばらくしてから否定的な結果が出てきて、
第三段階 そして本当の評価が定まる
この考えはドイツの哲学者ヘーゲルの歴史観に大変似ております。
インプラント治療は現在、どの段階でしょうか?
私の私見では、
スウェーデンでは第三段階になりつつあり、
日本では第一段階と第二段階の間のような気がします。
それは「歯を失ったら、インプラントが第一選択!」という歯科医師が、
いまだ日本のオピニオンリーダーとなっているからです。
もしあなたがインプラント治療をはじめ、
他の高度先進医療を受けるかどうか迷っているとしたら・・・・
まずその治療がどの段階にあるのかを
知ることから始めましょう。 |
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